和モダンと暮らす-花-
2022年06月17日
和モダンと暮らす-花-
先週に引き続き「和モダン」についてお送り致します!
花のある暮らし。
花がない部屋と花がある部屋があったら、花がある部屋が良いと感じるはずです。
「和モダン」な部屋にも、花は存在感を発揮します。
脇役のようでいて、主役級に空間の雰囲気を変えてしまう力を持つ花。
花を飾ることは、いつでも誰でもできる手軽さがありながら、暮らしを豊かに、みずみずしいものにしてくれます。
今週のテーマは「花」です!
花が生きる空間
花といえば、日本文化に根付く”生け花”があります。
では、生け花とは何か。
草月流家元である勅使河原茜さんは、「生け花とは、植物そのものが持っている空間を変貌させる力に、いける人の気持ちがプラスされることで成立する生きた芸術である」と述べています。
まさにこれを体現しているエピソードがあります。「利休の朝顔」です。
利休の家の庭で、朝顔が実に見事に咲いているという噂を聞いた秀吉が、その朝顔を見てみたいと利休に所望します。そして、利休の屋敷で朝顔の茶会が催されることになります。
秀吉が招かれ屋敷に向かうと、庭の朝顔は一つ残らずすべて摘み取られており、茶室にただ一輪の朝顔が生けられていたというのです。
利休は、朝咲いて昼にはしぼんでしまう朝顔の儚い美しさをどう見せるのが良いか、茶室の一輪にそれを凝縮して見せたのです。利休の考え方や生き方そのものを投影した示唆に富んだエピソードです。
花を選んで、お気に入りの花瓶に生ける。
そのひとときを、より深く、より充実したものにする。
そんなヒントがあるのではないでしょうか。
では、花が似合う和モダン空間とはどんなものでしょうか。
京都にある花屋「みたて」からその着想を得ることができます。店名の「みたて」には、見えないものに価値を見出し、新たな景色を見せるという思いが込められています。利休も瓢箪や魚籠を花入れに「見立て」て、茶道具としての価値を見出したと言われています。
参考:花屋 みたて
床や壁、天井などの大きな面積を占める場所のベースカラーは、淡いグレーやベージュなど、アースカラーでまとめます。
モノは少なく、ミニマルな空間が似合います。障子も昔ながらの伝統的なデザインもありますが、最近はシンプルななデザインも増えてきたので、取り入れてみてもいいかもしれません。
障子から漏れる淡い光が心地よい雰囲気をつくります。
生き方や考え方が反映される生け花。花を飾ることを通して、段々と美意識や審美眼が養われていくのかもしれません。
花から始まる豊かな時間。
そんな豊かな時間を過ごすには、どんな空間がふさわしいのか。空間から考えるのではなく、過ごしたい時間から空間を考えてみましょう。
今日は思い切って、近くの花屋さんを訪れてみませんか。