耐震性が不安な時に見るべき3つのポイント
2020年10月23日
新耐震基準と旧耐震基準の違い
今回のテーマは中古マンションの耐震性です。まず前提となるのが、耐震基準。大きく分けて二つの基準があります。建築確認通知書の発行日が1981年6月1日以降であれば新耐震基準、5月31日以前であれば旧耐震基準です。新耐震基準と旧耐震基準の違いは、耐えうる深度の大きさ。旧耐震基準は「震度5強程度の地震では、ほとんど建築物が損傷しない」と規定され、新耐震基準では「震度6以上の地震に耐えられること」を基準としています。
では新耐震基準がよくて、旧耐震基準がダメなのかと言われるとそう簡単な話でもありません。大地震の際、耐震基準による倒壊率の差はほとんどないという結果も出ています。倒壊の要因は実は築年数以外にあるのです。詳しくみていきましょう。
みるべき3つのポイント「地盤」×「構造」×「管理」
① 地盤
まず一つ目は地盤。揺れは震源地に近いほど大きくなるだけではなく、地盤が弱いと地震の揺れが増幅されて被害が大きくなることがわかっています。2011年に起きた東日本大震災では地盤の軟弱度の違いにより、建物の被害に差がでています。各自治体が発行している地震ハザードマップを確認すれば、地盤による揺れやすさの差を確認できます。
② 構造
次に、構造です。住宅金融支援機構(主にフラット35を取り扱う金融機関)では下の4つの構造が耐震性を判断する基準として設定されています。これらに該当しない構造の場合は、ローンが借りられない可能性が高いです。
※構造については、また別記事で詳しく触れたいと思います。
1.構造形式:構造形式がラーメン構造と壁式構造の混用となっていないこと
2.平面形式:平面形状が著しく不整形となっていないこと
3.立面形式:セットバックが大きくないこと
4.ピロティ:ピロティ部分が偏在していないこと
参考:住宅金融支援機構
③ 管理
最後に、管理です。鉄筋コンクリート造のマンションは文字通り鉄筋とコンクリートでできています。よって、鉄筋が錆び、コンクリートがヒビだらけでは危険な状態といえ、大きな地震により倒壊の恐れが高まります。これらを防ぐためには、長期修繕計画があり、計画に沿って定期的な修繕がされているかどうかを見極める必要があります。
東日本大震災の築年数による被災状況の差
参考:東京カンテイ
東日本大震災は、最大震度7で、甚大な被害をもたらしました。上記の表は、東日本大震災における新耐震と旧耐震の建物の被災状況の比較です。
建て替えが必要なくらいの大きな被害である「大破」判定を行ったマンションは、旧耐震が1棟、新耐震は0棟です。壁にクラックが入って鉄筋が剥き出しとなり、「中破」判定を行ったマンションは15棟ありました。うち12棟は新耐震基準のマンションです。
これらの結果から、東日本大震災においては、耐震基準の差はほとんどなく、それ以外の要素(地盤など)によって被害の度合を決めたといえます。
築年数の条件を緩和すると選択肢が広がる
住宅購入は予算の制約があります。不動産の価格は別記事でも述べた通り、「エリア」と「広さ」と「築年数」で構成されています。よって、予算が決まっていて、エリアと広さも妥協できない場合、動かせるのは築年数だけ。築古=悪と決めつけてしまうと、選択肢を狭めてしまいます。築年数の条件を緩和することによって、物件が見つかるかもしれません。