避けるべき構造まとめ
2021年03月12日
こういう構造は避けよう
東日本大震災が発生してから10年が経過しました。私たちはいまいちど、震災から学び、今後の震災の被害を最小限に抑えていかなければいけません。そのためにできる住宅選びの鉄則のひとつが、耐震性が弱い物件を選ばないこと。今回は、4回に分けてお送りしてきた「避けるべき構造」をまとめたダイジェスト版としてお送りします。
避けるべき構造
中古マンションを選ぶときに、避けるべき構造が4つあります。これはフラット35の耐震評価基準をベースにしています。フラット35、つまりお金を貸す側が、「こういう構造だと倒壊するリスクが高いので、お金を貸すことはできませんよ」ということを意味します。それぞれ順番にみていきましょう。
避けるべき構造①:「混用構造」
マンションの構造には大きく分けて、「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。どちらかひとつの構造で建てられている場合は問題ないのですが、中にはこの二つが混じっている構造も。こういった構造は地震などの大きな力が加わった際にうまく力を逃がすことができず、倒壊の可能性が高くなるため注意が必要です。
詳細はこちら:https://www.aiwasan-baibai.com/blog/konyou-kouzou/
避けるべき構造②:「ピロティ構造」
写真のように、2階以上の建物で1階部分が柱を残して外部空間になっているのをピロティ構造といいます。ピロティ構造自体は建築業界ではよく用いられ、特に大学や図書館などの大規模施設でもよくみられるものです。すべてのピロティ構造がNGではなく、特に旧耐震かつ、四隅が独立した柱で建っている建物は注意が必要です。
詳細はこちら:https://www.aiwasan-baibai.com/blog/piloti/
避けるべき構造③:「セットバック」
マンションは日照権の問題などで、下階よりも上階を後退させて建てる場合があります。これが今回のテーマであるセットバックのことです。セットバックも基準値以内なら問題ないですが、基準をこえるほどセットバックしている物件は、構造上バランスが悪く、大きな揺れのときに局地的に倒壊する可能性があるので、注意が必要です。
詳細はこちら:https://www.aiwasan-baibai.com/blog/setback/
避けるべき構造④:「非成形」
マンションを上から見たときに、L字型になっていたり、コの字型になっていたりする物件は要注意。ズレや突出部があると、地震等の大きな力をうまく逃がせなく、倒壊の要因になってしまうことがあります。ただし、エキスパンションジョイント等の対策がしてあれば大丈夫ですので、注意深くみていきましょう。
詳細はこちら:https://www.aiwasan-baibai.com/blog/hiseikei/
結局のところ、耐震基準と倒壊率に関係はあるのか
東日本大震災では、地震により「大破」したマンションは旧耐震の1件のみです。「中破」は15件あり、うち12件は新耐震という結果に。東京カンテイのレポートでは、耐震基準よりも地盤による差が大きかったと結論づけています。
阪神淡路大震災ではどうでしょうか。内閣府のレポートにはこのように記載されています。
「全体的にピロティ構造と壁の配置の悪い構造の建築に崩壊したものが多く、これらの中には現行法に適合している建物もあった。」
この二つの大きな地震からいえることは、新耐震基準だからといって全部が地震に強い訳ではなく、耐震基準以外の要素(地盤や構造)が倒壊の要因になっているということです。
まとめ
「築年数」や「耐震基準」は分かりやすい指標のため、新耐震基準であれば大丈夫だろうと安易に考えてしまう方が少なからずいます。もちろんそれも大事な要素ですが、それだけではなく、「構造」にも着目して、安全な物件選びをして頂きたいです。地震大国日本に住む私たちだからこそ、正しい知識を身に着けて地震に強い住まいを手に入れましょう。