避けるべき構造②「ピロティ構造」を知る
2020年12月25日
ピロティ構造をご存知でしょうか。ピロティとは、建築用語では2階以上の建物において地上部分が柱(構造体)を残して外部空間とした建築形式、またはその構造体のことを指します。下の写真のようなマンションがピロティ構造です。ピロティ構造は耐震性が比較的低いため、できれば避けたい構造の一つです。
参考:㈱耐震設計
避けるべき理由
フラット35の耐震基準では、建築確認日が昭和56年5月31日以前、かつピロティ構造の場合は、フラット35を利用できないケースがほとんど。フラット35は、借りたい「人」よりも融資対象の「物件」を重視して審査する傾向にあります。そのフラット35が定めている要件に合致しないということは、積極的に選ぶべき物件ではないということです。
参考:フラット35の耐震基準
https://www.flat35.com/files/100010606.pdf
では、ピロティ構造は本当に耐震性が弱いのでしょうか。ピロティ構造をもう少し掘り下げます。耐震基準要件には、「ピロティ部分を要する場合は、建物の隅部分が独立柱になっていないこと」と記載があります。独立柱とは、柱に壁が付いていない構造を言います。
通常、建物における耐震性は、柱・壁・梁(はり)の3つの要素が大きく関係するとされています。つまり、どこかひとつが抜けているだけでも耐震性は低くなるといえます。壁が少ないという構造上、必然的に耐震性が低くなっているのがピロティ構造です。では、実際に大地震の際には、ピロティの被害はどうだったのでしょうか。
大地震、その時ピロティは
阪神淡路大震災では、内閣府の防災に関するページで下記のように報告されています。
「全体的にピロティ構造と壁の配置の悪い構造の建築に崩壊したものが多く、これらの中には現行法に適合している建物もあった。」
現行法、つまり新耐震基準にも関わらず、都市直下型地震の場合はピロティ構造の被害が多かったことが報告されています。
参考:内閣府
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/hanshin_awaji/data/detail/1-1-3.html
一方で、東日本大震災では、ピロティ構造は津波には強いことが証明されました。津波の高さが4m未満だった地区では、ピロティ構造の建物は津波の被害が比較的に少なく済んだと言われています。ただし、津波が発生したエリアによっては漂流物がピロティ構造の柱にぶつかってしまうなどの危険性もあり、一概にピロティは津波に強いともいえません。
参考:朝日新聞
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201108280179.html
ピロティ構造を選ぶときは慎重に
地震の多い日本では、ピロティ構造は注意が必要な構造です。全てのピロティ構造がダメという訳ではありませんが、フラット35という融資する側が耐震基準の要件として定めている以上、私たちは注意して選ぶ必要があります。耐震性が心配という方は、できるだけ倒壊する要素を排除していく必要があります。