狭くて落ち着く?「ヌック」とは
2021年11月05日
狭くて落ち着く?「ヌック」とは
突然ですが、狭いところってなんだか落ち着きませんか。矛盾するようですが、広い部屋に狭いスペースがあるのが最強だと思うのです。そこで今回ご紹介したいのが「ヌック」。ヌックとは、小ぢんまりとした、温かくて心地のいい場所という意味。家族の団らんの場所を指します。スコットランド語で建築様式をあらわすneuk(ヌーク)が語源です。
コロナウイルスは世界を大きく変えました。新しく生まれてしまった言葉に「コロナ離婚」があります。家族とはいえ、ずっと長い時間家に一緒にいると、疲れてしまったり嫌なところばかり目についてしまったり。つながりを求めつつも、精神的に一人になりたい。そんな相反する思いを抱いている方も多いのではないでしょうか。
面白い調査結果があります。いま、世界ではアナログレコードが売れすぎて、(生産が追いつかなくて)売れない状態までになっているのです。ストリーミングの時代になぜアナログレコード?米タワーレコードの社長は「調査の結果、多くの若者が一人の時間や落ち着いた時間を過ごすのに、アナログレコードを聴いている」と分析しています。
一人の時間を愉しむのに、広い空間は必要ありません。個室である必要もありません。リビングの一角に、ちょっとしたこもれるスペースがあればそれでいいのです。家族とほどよく繋がりつつも、程よい距離感を保てる空間。それでいて、リラックスできて手触りのある音楽やペーパーブックを楽しめる場所。これが今求められている空間です。
では、心地よいヌックづくりの3つのポイントをご紹介します。
写真:pinterest
一つ目は、「高さ」です。リビングはできるだけ天井高が高い方が良いという方が多いでしょう。しかし、一人で内面と向き合うための空間、リラックスするための空間に適しているかと考えるとそうとも限らない。この写真のように、床を上げて天井は下げて。この方が落ち着くと感じませんか。空間のアクセントにもなり、ぐっと格があがります。
二つ目は素材です。この事例では、ヌック部分だけ木製になっています。白い壁に対してナチュラルな色味の木材で仕上げ、かつクッションを置くことでリラックスするのに適した空間となっています。手触りの良い天然素材はヌックとの相性がとてもいいです。
写真:pinterest
三つ目は照明です。ベースは少し暗めで、本を読む時のために手元が明るくなるくらいでちょうど良いです。青白い蛍光色は避けて、オレンジ色の電球色にするのがおススメ。電球色は夕日を再現した色味とされているので、リラックスさせる効果があるといわれています。
広いスペースを必要としないヌックは日本の住宅事情にもマッチする空間です。中古物件×リノベーションなら、自分だけのリラックス空間をつくることが可能です。インスタグラムやピンタレストで「ヌック」と検索すると素敵なヌック事例と出会えますので、是非チェックしてみてください。