長持ちマンションの見極め方
2020年08月28日
4戸に1戸は築30年越えの時代
2016年は日本の住宅業界にとって大きな転換期でした。新築神話が根付く日本において、首都圏限定ではありますが、新規供給された新築マンション戸数と中古マンションの成約戸数が逆転したのです。この逆転現象は2017年、2018年と続きました。今まさに、中古住宅の時代が到来しつつあります。
では、築何年くらいの物件が選ばれているのでしょうか。東日本不動産流通機構がまとめた資料によると、2017年には成約物件の25%、2019年には登録物件の39.8%が築31年以上の物件です。仮に築30年以上の物件を買ったとして、あと何年住めるのか。多くの方が持つ疑問であり、不安ではないでしょうか。
マンションの物理的寿命は100年以上
国土交通省がまとめた「RC造(鉄筋コンクリート)の寿命に係る既往の研究例」によれば、下記の記述があります。
「鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定」
《飯塚裕(1979)「建築の維持管理」鹿島出版会》
「鉄筋コンクリート部材の効用持続年数として、一般建物(住宅も含まれる)の耐用年数は120年、外装仕上げにより延命し耐用年数は150年」
《大蔵省主税局(1951)「固定資産の耐用年数の算定方式」》
つまり、100年以上もつと考えても問題はないということになります。しかし、適切なメンテナンスが行われない場合、もっと早く寿命を迎えることも珍しいことではありません。管理の良し悪しによって、寿命は左右されるため、管理状態の見極めが大切です。
定期的な修繕、特に外壁を丸ごとメンテナンスするような大規模修繕工事は多額の費用がかかります。大規模修繕工事の費用の目安は戸あたり100万円。40戸のマンションなら3,000万円~5,000万円の費用が大規模修繕の工事費の目安となります。大きな額ゆえ、計画的な積立が必須となります。
重要事項調査報告書と長期修繕計画を見て見極める
計画的な修繕が行われているかを見極めるためには、「長期修繕計画書」※1を確認しましょう。これがなければ、計画的にお金を積み立てていくのは難しい。「平成30年度(2018年度)マンション総合調査結果」によると、7%のマンションが、いまだ長期修繕計画を作成していない状況にあります。このようなマンションは選ぶべきではありません。
長期修繕計画があるだけでは不十分です。計画通りにお金が積み立てられているか、修繕できているかが更に大事なポイントになります。長寿マンションを選ぶコツは、「重要事項調査報告書」※2と「長期修繕計画」をセットで確認し、管理の良し悪しを判断することです。是非見極めのポイントとして参考にしてみてください。
※1「長期修繕計画」について別記事で詳しく解説しています。
https://www.aiwasan-baibai.com/blog/tyoukishuuzenkeikaku/
※2「重要事項調査報告書」について別記事で詳しく解説しています。
https://www.aiwasan-baibai.com/blog/20-5-1tyousahoukoku/