避けるべき構造①「混用構造」を知る
2020年11月20日
「中古マンションは耐震性が不安」なあなたへ
中古マンションの購入を検討した際、心配なのが「耐震性」。多くの方が耐震性には築年数が影響すると考える傾向にありますが、実は築年数だけで耐震性は測れません。ポイントは3つあり、「地盤」と「構造」と「管理状態」を見極める必要があります。「構造」には避けるべき4つの構造があり、今回はそのうちの一つである混用構造について解説します。
混用構造を避けるべき理由
図1:ラーメン構造と壁式構造の違い(出典:nu リノベーション)
建物には縦の力(主に重力)と横の力(地震や強い風)がかかり、それをうまく地盤に伝える方法を構造形式といいます。「混用構造」とは、ひとつの建物に「ラーメン構造」と「壁式構造」が混ざっているもの、またはひとつの建物に「鉄筋コンクリート造」と「木造」の二種類の構造種別を採用しているものです。
図2:All about
注意したいのは前者の「ラーメン構造」と「壁式構造」を一つの建物で採用している物件。ラーメン構造は、梁と柱で建物を支えます。壁式構造は、壁そのもので建物を支えます。大きな違いは、ラーメン構造が柱・梁の「線」でかかる力を受けるのに対し、壁という「面」で力を受けることです。
図2のような混用構造の場合、1階部分と2階以上の部分で力の受け方が異なります。通常時は支えられたとしても、地震などの大きな力が加わる場面では、1階部分と2階以上では揺れ方が異なります。よって力がうまく地盤に逃げないため、建物に大きな負荷がかかり倒壊の可能性が高くなります。
混用構造はローンが使えない場合も
結論からいえば、混用構造は耐震面では弱いといえます。銀行によっては住宅ローンが通らない場合もあります。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」を利用する場合、「耐震性に関する基準」があり、そこで「構造形式がラーメン構造と壁式構造の併用をしていないこと」という条件が盛り込まれています。
フラット35は、ローンを借りたい「人」よりも「物件」を中心に審査する特徴があります。そのフラット35がお金を貸せないことは、それだけ建物に問題があるということです。もし現金で買えたとしても、いざその物件から住み替えることになったとき、売りにくい状況になり、資産価値という点でみてもマイナスです。
リセールバリューも意識して
今回は避けるべき4つの構造の一つ「混用構造」について解説しました。耐震性が弱いばかりか、住宅ローンを使うことができない可能性が高い混用構造。安心な暮らしを実現するために避けて頂きたいのはもちろんのこと、リセールバリューを意識した買い物ではあれば避ける方が賢明です。