避けるべき構造④「非成形」の構造について
2021年02月26日
いびつな形の物件は要注意
今回は買ってはいけない構造シリーズ第4弾、「非成形の構造」をテーマにお届けします。「非成形の構造」とは、おおまかにいえばL字型やコの字型をしていたりする少々いびつな形をしている構造のマンションことをいいます。ただし、全てがNGという訳ではないのでご安心ください。注意すべき点を具体的にみていきましょう。
非成形だとローンに通らない可能性がある
まず、非成形の構造をオススメしない理由は、フラット35の耐震評価基準に満たない可能性があるからです。耐震評価基準に満たないということは、耐震性が低いことを意味します。具体的には、建築確認日が昭和56年5月31日以前(つまり旧耐震基準)かつ、次の2つに該当する場合は特に注意が必要です。
チェックポイント①:ずれがある
引用:地球デザイン研究所
図は、上からマンションをみたときをイメージしてください。図のようにずれがある場合は、ずれの寸法が2m以内、または全幅の1/2以内であることが必要です。ずれの両側がエキスパンションジョイント等により構造的に分離されている場合は、ずれの判定は不要です。エキスパンションジョイントについては後述します。
チェックポイント②:突出部がある
引用:地球デザイン研究所
図のように突出部がある場合は、突出部の長さが幅の1/2以内または、突出部の面積が水平投影面積の30%以内であることが必要です。突出部の判定にあたっては、外部階段、バルコニー等はないものとして判定します。また、梁(はり)又は耐力壁のある吹き抜けは、吹き抜けがないものとして判定します。
熊本地震でマンションが割れた?
2015年に起きた熊本地震で、ある写真がSNSで拡散されました。あまりの衝撃の写真に設計ミスや施工不良ではないのかという声が相次いだのですが、実は真逆。これこそがマンションへのダメージを軽減する施工だったのです。これにより、エキスパンションジョイントという言葉が広く知れ渡るきっかけとなりました。
写真:熊本地震によるマンションの被害
エキスパンションジョイントとは、伸び縮みする継ぎ手のこと。この写真でいうと、割れている部分に施工されています。躯体を分割することで、地震などで建物が受けるダメージを最小限に抑えることを目的としています。電車の連結部分のようなイメージです。一見非成形に見える構造でも、このような施工がされている場合は、安全といえます。
非成形物件なら慎重に判断を
街で注意深くマンションを見てみると、意外にも非成形のマンションを目にすることは珍しくありません。ただし、非成形が全部NGな訳ではなく、築年数やエキスパンションジョイント等の施工状況によってはOKな場合もあります。なかなか見分けがつきにくいので、内覧の際は不動産や建築のプロに相談してみましょう。